家族信託制度とは、
家族信託が注目をされてきた背景には、高齢化と認知症の問題があります。厚生労働省の「令和2年 介護保険事業状況報告」によると、要介護認定者数は、65歳から74歳で全体の1割強ですが、75歳以上になると9割弱と急増しています。年齢が上がるにつれて認知症になる確率も急激に上昇します。
認知症が悪化すると、銀行の口座などは凍結されてしまい、子どもでも親のお金を下ろせなくなります。そうすると、親の介護に手をあげた子どもが金銭的な負担も強いられることにつながります。
そこで、新しくできた制度が家族信託で、家族による財産管理の一つの手法です。所有権を「財産権(財産から利益を受ける権利)」と「財産を管理運用処分できる権利」とに分けて、後者だけを子どもに渡すことができる契約です。
これにより、所有者である親が認知症になってしまったり、介護が必要になってしまい自分で財産を管理できなくなってしまったとしても、子どもが親のために、信託された財産の管理、運用、処分をすることができるようになります。
- 「委託者」は、財産のもともとの所有者で、財産を信託する人
- 「受託者」は、財産の管理運用処分を任される人
- 「受益者」は、財産権を持ち、財産から利益を受ける人
委託者が財産の管理を受託者に任せ、その財産を受託者が管理し、その財産から発生した利益を受益者が得る仕組みになっています。
家族信託では親のために子が財産を管理し、利益は所有者である親が得るなど、委託者と受益者が同じ人になることがほとんどです。
家族信託のメリット・デメリット
【メリット】
・財産管理が委託者の判断能力に影響されない。
・委託者の思い通りに財産の承継・事業継承を決定できる。
・成年後見制度より柔軟な取り決めもできる。
・相続による遺族の負担を軽減できる可能性がある。
・倒産隔離機能が使える。
【デメリット】
・身上監護をするには成年後見制度の利用が必要となる場合がある。
・財産の管理を誰にも引き受けてもらえない場合がある。
・親族間の不公平感を生む恐れがある。
・直接的な節税対策にはならない。
・遺留分侵害額請求をされる場合がある。
・弊所でのサポート
家族信託は、成年後見制度と比べ、かなり自由度が高い制度となっています。そのため出来る範囲が非常に多岐にわたり、近年、話題になることが多い『親なき後問題』『認知症対策』『おひとり様高齢者』『ペット信託』などにも対応できる制度です。
弊所では、できる限りご家族の皆様とご一緒にご相談させていただき、あなたにとってのベストな内容をご用意いたします。